厚生年金はいつからもらえるのか?(厚生労働省引き上げ案)(2011年10月24日)
厚生労働省が示した、厚生年金の支給開始年齢の
引き上げ案が話題になっています。
支給開始年齢の引上げ案を簡単に整理すると、 3つの案があります。
- 支給開始年齢の引き上げペースを速める
- 支給開始年齢を68歳まで引き上げる
- 引き上げペースを早め、支給開始年齢も68歳にする
(1)支給開始年齢の引き上げを速める
現在、H23年度に60歳になる男性は60歳から厚生年金を受給できます。
これから年金をもらう男性はH26年度には61歳、H29年度には62歳と
「3年」ごとに支給開始年齢が61歳、62歳、…、65歳まで引き上げられます。
これを、H25年度には61歳、H27年度には62歳と、
「2年」ごとに支給開始年齢を引き上げようとする案が出されました。
この案が実現した場合、
現在の制度では支給開始年齢が62歳の予定だった人が64歳になるなど、
最大で2年支給開始が遅くなる人が出てきます。
また、現在の制度では女性は男性の5年遅れで
支給開始年齢が引き上げられていますが、
この案では男女とも、同じ引上げスケジュールとなっています。
(2)支給開始年齢を68歳まで引き上げる
現在、支給開始年齢の引き上げは65歳までですが、
これを68歳まで引き上げようとする案です。
これにより、現在の制度では支給開始年齢が65歳の予定だった人が
最長68歳になり、最大で3年支給開始が遅くなる人が出てきます。
(3)支給開始年齢の引き上げを速め、支給開始年齢も引き上げる
(1)と(2)を合わせた変更で、支給開始年齢を「2年」ごとに、
「68歳」まで引き上げる案です。
これにより、現在の制度では支給開始年齢が64歳の予定だった人が
最長68歳になり、4年支給開始が遅くなる方が出てきます。
また、働いている60~64歳の人の年金と賃金の合計が
一定額を超えると年金がカットされる「在職老齢年金制度」の
減額基準を現在の「28万円」から、
65歳以上の人の減額基準である「46万円」または
60~64歳の平均所得に合わせた「33万円」にする案を出しています。
60歳過ぎてからも働くことで年金をカットされてしまっては、
働きたくなくなってしまいますよね。
そのため、60歳を過ぎてからの勤労意欲をなくさないように
減額基準を緩和しているのでしょう。
年金の支給開始年齢引き上げの実現のためには65歳まではもちろん、
65歳以降も見据えた雇用環境を整備しなければなりませんが、
現状では65歳までの雇用確保も進んでおらず、慎重論が多いようです。
一度、自分の生年月日に当てはめて、現在の制度での支給開始年齢、
引上げ案が実現した時の支給開始年齢を確認して、
老後の見通しを立てた方がよさそうです。