社会保障改革案を軽く頭にいれておきましょう(2011年6月10日)
厚生労働省の「社会保障改革案」のうち、
年金分野の原案が示されました。(あくまで現段階では「案」です)
(2011年5月15日読売新聞の朝刊より抜粋)
当面は、現行制度の修正をした上で、
2015年までに新制度の導入を目指しています。
現行制度を修正した概要は以下のようになっています。
1.受給資格期間の短縮
無年金者を少なくする観点から、
現行では原則25年とされている最低加入期間を
10年に短縮し、加入期間が足りない方や、
加入期間が25年にならない現役世代の救済を目指します。
2.働く受給権者の年金減額の緩和
現行では、60歳~64歳で働く年金受給権者は、
賃金と年金を合わせて月28万円から年金の減額が始まります。
これを65歳以上の働く年金受給権者と同じ月46万円まで引き上げることで
就労意欲を促進し、税収増につなげる意向です。
3.非正規労働者への厚生年金適用拡大
パートや派遣社員を厚生年金に加入させるとき、
「1週間の労働時間が30時間以上」が現行の原則ですが、
これを「1週間の労働時間が20時間以上」とし、適用拡大を進める方針です。
4.高所得者への年金を減額、標準報酬月額の上限を引き上げ
5.支給開始年齢引き上げの検討
6.厚生年金、共済年金の一元化
1.受給資格期間の短縮、2.働く受給権者の年金減額の緩和
がこの改革案の柱になりますが、
年金受給権者の範囲を拡大するわけですから、
その財源をどう確保するのかが問題になります。
会社側から見た場合、3.非正規労働者への厚生年金適用拡大
が一番気になるところではないでしょうか。
労働時間を週30時間未満に抑えて、
パートに働いてもらっている会社は珍しくありません。
もし、厚生年金の適用が週20時間のパートに拡大されたら…
会社の負担が増えてしまいます。
(保険料の半額は会社負担ですから、
相当な負担金額になることもあり得ます。)
また、半額が会社負担とは言え、
今まではかからなかった保険料が引かれるので
厚生年金に入りたがらない方も多いと思います。
あくまで改革案であり、実現が決まっているわけではありませんが
社会的にこのような方向で動いているということで、
頭の片隅にはいれて置かなければならない大切なことです。