新たな高齢者医療制度に向けての取り組み(2010年11月9日)
日本国内に住む75歳以上の後期高齢者全員と
前期高齢者(65歳~74歳)で障害のある者を対象とする
他の健康保険とは独立した制度です。
現在、この後期高齢者医療制度を廃止し、
新しい高齢者医療制度の導入が目指されています。
10月23日の朝日新聞の記事によると、
後期高齢者医療制度を廃止した後の新制度で、
2025年度(団塊の世代がすべて75歳以上となる時期)の
保険料の試算が明らかにされました。
試算の結果は以下のようになっています。
(ただ、これはあくまで平成25年4月を目途に新制度の施行を
目指しているものであり、導入が決定されたわけではありません)
75歳以上の方の保険料…32,000円増加
健保組合に加入する方の保険料…94,000円増加(※)
協会けんぽに加入する方の保険料…72,000円増加(※)
国民健康保険組合に加入する方の保険料…39,000円増加
(※本人と企業の負担合計です)
保険料の増加を見てみると現役世代の方が多くなっています。
これは、高齢者の保険料の増加を抑えるために
現役世代の負担を増やしたからです。
現在の後期高齢者医療制度は、
75歳以上だけを対象にした別制度なので、
このまま高齢化が進行し、医療費が増えていくと
高齢者の負担がどんどん増えてしまいます。
新制度では、後期高齢者医療制度に加入している方を
国民健康保険の被保険者や現役世代の扶養家族にすることで
75歳以上の高齢者の保険料の増加を抑えるようになっています。
その分、現役世代の負担が増えるようになっており、
また、企業は従業員の健康保険料を半額負担しているため、
保険料の増加が企業経営の圧迫にもつながりかねません。
新制度では、75歳以上への公費負担を
現在の47%から50%に引き上げて
健保組合等の負担増抑制を図っていますが、
上記の通り、現役世代の負担増は避けられません。
今後、高齢者の割合が増えていく中で、医療費が増加し、
保険料負担の増加は避けられませんが、
新制度ではその負担の比重が現役世代に偏っていることが
問題視されており、増加していく保険料を社会全体で
どうやって受け止めていくかが今後の課題になるでしょう。