パート・アルバイトの年次有給休暇(2010年7月9日)
お客様から、年次有給休暇についての質問を受けることは
よくあります。
その内容は
「有給休暇ってあげなければいけないの?」
「有給休暇っていつ発生するの?」
「有給休暇って何日与えればいいの?」
このような内容が多いのですが、
「有給休暇は、正社員にだけ与えればよい」
と勘違いされている社長様も、決してめずらしくありません。
確かにパートやアルバイトとして雇っている労働者が
「来月、○○日は予定があるので有給休暇を取らせてください」
こう言ってくることは、ちょっと想像しにくいかも知れません。
しかし、法律では年次有給休暇は、
「雇入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し、
労働日の8割以上出勤した労働者」
に対して与えられるものとなっています。
つまりこの条件を満たせば、パート・アルバイト等の
所定労働日数の少ない労働者にも、
有給休暇を与えなければいけません。
パート・アルバイト等の有給休暇に重要なのが、
その労働者の労働日数に応じた有給休暇を与える
「比例付与」という制度です。
比例付与の対象となる条件は
以下のようになっています。
- 週によって所定労働日数が定められている労働者の場合
→週所定労働日数が4日以下
- 週以外の期間によって所定労働日数が定められている労働者の場合
→年間所定労働日数が216日以下
上記の条件に該当し、かつ週所定労働時間が30時間未満の
労働者については、有給休暇の比例付与の対象となります。
つまり、有給休暇は労働日数が少なくても、
一定の条件を満たしたパート・アルバイト等には
与えなければなりませんし、
週所定の労働時間が30時間以上、
または
- 週によって所定労働日数が定められている労働者の場合
→週所定労働日数が5日以上
- 週以外の期間によって所定労働日数が定められている労働者の場合
→年間所定労働日数が217日以上
であれば、パート・アルバイト等であっても
通常の労働者と同じ日数の有給を付与しなければなりません。
月給制の労働者であれば、有給休暇を取得した際には、
欠勤控除をしないだけで、お給料の額は変わりませんが、
時給制の労働者が有給を取得した際には、
所定労働時間分の賃金を払わなければなりません。
「仕事に来ていない労働者に、所定時間分の賃金が発生する…」
お給料を払う側の立場からすれば、
なんとなく違和感を感じる気持ちも分かりますが、
法律上はこのような運用の仕方をしなければならないのです。