年次有給休暇の買い上げは違法なのか?(2010年6月5日)
「年次有給休暇の買い上げ」という言葉は良く聞くと思います。
お休みさせる代わりに、その分の金銭を支払うということですが、
それは法律上、問題はないのでしょうか?
年次有給休暇の意義は、
労働者に、休日の他に一定の休日を与えることによって
労働者の心身の疲労を回復させることにあります。
これを一定の金銭を与える「買い上げ」によって、
有給休暇を与えたものとすることは、
法定の日数を与えていないと同じに解釈されて
「違法」になるのです。
つまり、法定内の有給休暇についての買い上げはできません。
しかしその一方で、
- 法定日数を上回る有給休暇を会社が付与しているとき、その上回る部分
- 2年間の消滅時効や、退職によって請求権が消滅する場合
は買い上げが可能なのです。
まとめると、有給休暇の発生から2年間は
法定の有給休暇(労働基準法で定められている最低ラインの日数)
を買い上げることはできませんが、
- 法定日数を上回る有給休暇や
- 2年を経過し、請求権の消滅した有給休暇を
どう処理するかは法の関知するところではなく、
この日数に応じた金銭を支給しても、問題ないということなのです。
このように、消滅した有給休暇に対して金銭を付与することは
事前の買い上げとは異なり、法的には問題ないのです。
しかし、結果的に有給休暇の取得を抑制することになる場合もあるので
本来の趣旨からは好ましくない…と言われています。
そのためにも企業としては従業員が、
有給休暇を取得しやすい環境作りに努めることが大切ですし、
従業員の方も、「有給休暇は認められた権利だから…」
という態度ではなく、まわりの人を気遣いながら、
節度ある取得をしてほしいな…と思います。
退職の時、最後にまとめて有給休暇を取るのも、
「立つ鳥後を濁さず」というように、
お互い気持ちよく、ケースバイケースで考えていきたいですよね。
(有給休暇に関する労使トラブルって、かなり多いんですよ)